株式会社テリオ

ふくろう通信

匂いなき匂いあふれて

       白むくげ

(三島・龍澤寺 中川 宋淵老大師)

令和3年6月30日

なんとも読み応えのある素晴らしい本に出合えたものである。

「なぜ女系天皇で日本が滅びるのか」竹田恒泰・門田隆将両氏による共著である。

今回のふくろう通信は、この共著をもとに私見を入れて書いてみたい。

日本は、2000年以上にわたり、王朝の交代が一度もなく、126代にわたり現天皇陛下まで脈々として、男系の男子によって継承されてきた世界最古の国家である、ということは以前から理解していたが、それがなぜ女性天皇や女系天皇の継承が叫ばれるのか、巷間話題になっていることをずっと不思議に思ってきた。

マスコミ報道では、天皇家の継承者が先細りするとか、男女同権の時代に女性の天皇を認めないのは時代錯誤であるとか、もっともらしく活字が躍っているが、本当のところはどうなのか。

いま世論調査では、女系天皇容認の声が実に七割以上に達しているという。世界最古の王朝で、世界最古の国、日本民族が、2,000年以上に亘り守り通した伝統と先人の智慧の価値を、現代人は「なんとも思っていない。」のか、その意味するところが解っていないのか、実に嘆かわしい限りである。

著者の竹田氏は、この辺の事情を明確に説明して呉れているのである。これには「天皇制打倒」を掲げるある政党(特に名を伏す)が、方向転換してSNSを通じて女系天皇実現という“幻“のごとき世論操作を猛然と行っていることが大きく関係しているという。ようやく本筋が見えてきて得心した。

日本民族は、「一度も王朝が変わっていない。」というが、では何故2000年以上にわたり王朝が変わらないで継続しられたのか、簡単には説明がつかない。竹田氏は、それが「権威と権力との分離」という先人の智慧によって、成し遂げられてきたということをこの書で語っているのだ。

一昨年京都を訪ねた折、「京都御所」の近くに宿泊する機会があった。小さな塀のようなもので国民との間が、仕切られている実に質素なものであった。堀も石垣もやぐらもない。いざというときに兵が駐留する施設すらない。実に不思議に思った記憶が蘇って来た。 日本民族は、その場所で天皇を戴き、これを貶めたり、あるいは誅したりすることなく「天皇という存在」を守り続けてきたのである。市井のすぐ隣にいる天皇を、日本人はずっと守り続けてきたのである。これは世界の歴史からみると信じられない奇跡である。時の権力者や独裁者が天皇の権威を奪おうとして、反乱を起こして天皇になり代ろうという不届者は出なかった。平清盛も、源頼朝も、織田信長も豊臣秀吉も徳川家康もそうである。まさに奇跡と言わざるを得ない。それは日本人が、「歴史」と「伝統」と「秩序」を重んじる民族であることを示している。

しかしわが国が、歴史と伝統と秩序を重んじる民族であるといっても、それだけでは、2000年以上に亘って天皇制が続くという説明には少し何かが足りない。

歴史的に天皇と民は、「三つの縁」で結ばれているという。一つだけの単純な縁ではなく、三つあるところが強さであるという。

一つは、「治縁」、もう一つは「心縁」そして「血縁」である。そしてそれらは他の国と異なり服従関係では無い。

まず「治縁」というのが前述の「権威と権力の分離」である。古事記には「しらす」という言葉があるが天皇は国民のことを知り、その幸せを祈ることに注力されているのである。

一方で、天皇が任命するという形で歴代の将軍や総理大臣などの為政者が政治の権力を握って来た。この治縁はよその国にはないもので、天皇と国民の「絆」によって、2,000年来続いて来たのである。

二つ目の「心縁」は、歴代天皇がいつの時代も国民一人ひとりを我が子のように愛し、その幸せを祈って来たことを基礎とする。

三つ目が「血縁」である。これが重要で、日本人をずっとさかのぼれば全員親戚になるというほどである。これは天皇の娘の多くが地方の豪族に嫁ぎ、多くの豪族の娘が天皇家に嫁いで来たことを意味しているのである。日本人は、脈々として血縁によって結ばれてきた民族である。

難しい事柄はこれくらいにして、この書籍のなかで赤裸々に描かれている文章を読んで、実に驚いたことがたくさん書かれていた。以下竹田恒泰氏の文章をダイジェストにそのまま書いて置きたい。

  • ① 女系天皇、女性天皇性を煽り、皇統断絶をもくろむ勢力が、某政党をはじめ政治家、官僚機構の中にも、深く蔓延していること。これは学生時代から日本の正しい歴史を教えない教育の弊害である。
  • ② 女系天皇は、父方に天皇の血筋を持っていないので、例えばイギリス人と結婚すれば以後、天皇家はイギリス系となり、2,000年以上守り抜いた皇統は、簡単に消滅してしまう。血筋とはそんなものではないはずである。
  • ③ 第二次世界大戦の敗戦によって、GHQ(連合国軍総司令部)の占領下で、昭和天皇の弟だった秩父宮、高松宮、三笠宮を除く11宮家が皇室離脱をした。そのうち、絶家または絶家が確定している宮家は六宮家になり、残っている宮家は五つである。
  • ④ 皇室典範には養子制度がないので、「昭和21年に皇籍を離脱した宮家の男系男子に限り養子をとることが出来る。」と皇室典範を改正すれば良い。
  • ⑤ 竹田氏は、「皇統に属する男系の男子がこれを継承する」為には、旧皇族を復帰させる案と秩父宮、高松宮、三笠宮家に旧皇族の中より、養子を採るという案があるが、養子案が一番優れているという。旧皇族を中心に独身男子は10名、秋篠宮殿下より若い既婚者でも10名に及び、更に男子が増える予定である。
  • ⑥ この養子をとることによって宮家を存続させる案は、だれをどの宮家に復帰させると いう選択は、宮家が主体的に持てることで波風が立たない。

まだまだ書きたいことがたくさん有るが紙面の都合で書留とする。是非この「ふくろう通信」を読まれた方は、「なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか」(ビジネス社発行、門田高将、竹田恒泰共著、定価1,650円)を読んで頂きたい。

この本を読んで日本の正しい歴史感を養って頂き、ひとりでも多くの方に正しい日本の皇室感を高めて頂きたい、と念願するものであります。

合掌

米山 昌英

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