株式会社テリオ

色葉散る人もちりちる 日の光

(三島・龍澤寺 中川 宋淵老大師)

 年惜しむという季語が、実感として胸に迫って来る頃となった。
 あっという間に過ぎ去った一日一日が、実に濃厚な時間となって、心に重くのしかかって来る。
 あと一カ月余りとなった残り少ない日々が、急に貴重に思えてならない。今年も様々なことがあった。素敵な出逢いと別れとが、折り重なって一年が過ぎた。とりわけ心に残る人々との別離は、誠に悲しみが深くそして大きい。
 年を重ねる毎に出逢いのよろこびよりも、別れの悲しみの大きさに胸を締め付けられる。段々と悲しみの深さが身辺に重く迫ってくる。
  「過ぎ去れるを追うことなかれ」
 お釈迦様の教えを噛み締めながらも、年の暮れが近くなると無性に感傷的になる。それだけ馬齢を重ね続けた証左であろうか。
 とりわけ今年は、4月から始まったコロナ禍により会社の計画は大幅に狂い、創業以来、かって一度も経験したことがない、大きな痛手を受け続け、現在も続いているのである。
進むも地獄、退くも地獄、絶体絶命のピンチ到来である。
 そんな中で、振り返ってみると当社は誠に幸運だった。昨年の9月末日、惜しまれつつ小田急エース店を契約期間満了で閉店し、同年12月より進めて来た環境衛生部門の事業譲渡が、驚くほど速くあっと云う間に成立した。この二つのプロジェクト遂行のお陰で、銀行の借入も大幅に削減できたし、資金的にも余裕を以ってコロナ禍に対応することが出来たのである。
 勿論、このコロナ禍を予め予想して、事前に手を打った訳ではないが、結果として重大なピンチを何とか凌ぐことが出来たのである。
 人はそれを「運が良いですね。」という。私は、仕事も人生も何か運命という、見えないものによって動かされ、支えられているのであろうか。
 人は誰よりも幸せにきたいと思う。幸せに生きるにはどうすれば良いのであろうか。
お釈迦様のお言葉に、
 「ただ今日為すべきことを熱心になせ__。」
 私たちは、高い理想を掲げ、どんなに努力をしても、望みが手に入るとは限らない。明日あした何が起こるか誰にも判らない。したがって、今日こんにち只今のに全力を傾ける以外に、真の安心あんじんは得られないのだ。この短い一言をどうぞ充分に味わって頂きたいものである。
白隠はくいん禅師という江戸中期の禅僧のお師匠さんである正受しょうじゅ老人は、
 「一大事とは今日こんにち只今の心なり。それをおろそかにして、明日あしたあることなし。」と示して居られます。
 何よりも大切なことは、今日只今の心であり、それを疎かにして、明日のこと等を心配しても詮無せんないことである。それなのにほとんどの人は、遠い将来のことばかりに心を遣い、気を配って悩んでいる。何よりも肝心な現在只今・・を忘れていることに気がついていない。
 人生の最大事は、いまここの現時点に、身も心も集中し為すべきことを為すことが最も大切である。只今のいまになすべきことを熱心に成す以外に、自らの幸せは得られない。それは歳末にも、歳初めにもそのまま通じる人生の生き方そのものである。

合掌

米山 昌英